Vol.4 欧州訪問 その1(2025.2)

機構長戦略室だより

2025年2月

Vol.4 欧州訪問 その1

今回は、今年度、新たに機構長戦略室の検討課題として取り組むことになった国際交流に関する報告です。

昨年9月に、フランスのパリ日本文化会館(MCJP)、社会科学高等研究院(EHESS)日本研究センター(CRJ)、オランダのライデン大学国際アジア研究所(IIAS)、ドイツのボン大学を訪問しました。新型コロナウイルスの流行により、2020年から対面での交流が途絶えていましたが、2022年から徐々に交流を再開し、2022年12月1日にはボン大学のホーホ学長以下8名が本機構を訪れました。そのときに、共同シンポジウムの開催が話題に上り、そこから準備を始めて2024年9月にボン大学で共同シンポジウムを開催する運びとなりました。

今回のヨーロッパ訪問の主目的は、3日間にわたるボン大学・NIHU共同シンポジウムの開催ですが、あわせて、コロナ禍で直接の交流が中断されていたパリ日本文化会館、社会科学高等研究院日本研究センター、ライデン大学国際アジア研究所を訪問して、今後の交流について相談することになりました。

 

最初の訪問先は2024年9月23日、エッフェル塔近くのパリ日本文化会館、訪問者は木部(機構長)、若尾(国際担当理事)、大場(研究員)の3人です。まず驚いたのは、入口にゴジラの大きなポスターがあったことです。なんでも、ゴジラ生誕70周年を記念して、10月4日(金)から11月9日(土)まで日本の怪獣に焦点を当てた映画シリーズが開催されるとのこと。これをきっかけに、パリ日本文化会館の鈴木仁館長と「怪獣・妖怪」の話で盛り上がりました。妖怪といえば、本機構には国際日本文化研究センター(日文研)の「怪異妖怪関係資料」があり、国立歴史民俗博物館(歴博)でも「妖怪展」を開催しています。NIHUの妖怪資料には、鈴木館長も大きな関心を寄せているようで、日文研とアニメ、妖怪、春画などで連携できないかという話も出ました。

 

その日の午後は、社会科学高等研究院(EHESS)日本研究センター(CRJ)を訪問しました。EHESSとは2016年に協定を結び、EHESS内に人文機構のリエゾンオフィスを設置しました。その間にEHESSは、パリ中心部からパリ北部のコンドルセ・キャンパスに移転しましたので、今回はその見学も兼ねての訪問ということになります。

コンセルド・キャンパスは、広い土地に各専門分野の研究棟が立ち並ぶ学園都市という感じの空間でした。日本研究センター(CRJ)は地下鉄の駅に近いところにあり、三角形に研究棟が配置された印象的な建物です。2階の会議室でLeopoldo Iribarren 副院長(国際関係担当)、Dr. Guillaume Carré 中韓日研究所(CCJ)所長 / 日本研究センター(CRJ)所長にお目にかかり、これからどのような交流ができるかについて意見交換を行いました。その中で、EHESS の教員が海外の研究者を客員研究員として受け入れる「EHESS 客員研究員プログラム」の紹介がありました。客員研究員は期間中、自由に(共同)研究ができるほか、セミナーを4 回ほど担当するということでした。リエゾンオフィスも確保されていて、100㎡ほどの広さの部屋に机と椅子、パソコンが配置され、共同研究者やEHESS の名誉教授等が使用できるようになっていました。じつは、2019年4月~5月に国文学研究資料館(国文研)の渡辺浩一教授、2024年2月~3月に歴博の横山百合子名誉教授がここを訪れています。

 

次の日(9月24日)は、パリからオランダ、ライデンへ移動し、ライデン大学国際アジア研究所(IIAS)を訪問しました。ここでは Dr. Philippe Peycam 所長、Dr. Aarti Kawlra (Humanities Across Borders 担当)、Dr. Paul Rabé (Urban Knowledge Network Asia 担当)にお目にかかり、Peycam 所長から、環インド洋を対象とした共同研究の可能性、地域研究の意味やグローバル・ローカルの意味について一緒に考えてみたいなどの提案がありました。また、2025 年6 月にセネガルで開催される「Africa-Asia」の会議・フェスティバルが紹介され、そこでお会いできれば、というメッセージもいただきました。

 

9月25日はライデンからドイツ、ボンへの移動日。夕方、シンポジウムに参加する他のメンバーとホテルで合流して、26日からいよいよ、ボン大学との3日間にわたる共同シンポジウムの開催です。

次号へつづく

 

人間文化研究機構
機構長 木部 暢子

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