大手町アカデミア × 人間文化研究機構 無料特別講座「食べるフィールド言語学――「Food×風土」の視点から」
人間文化研究機構(以下「人文機構」)は、「大手町アカデミア」(主催:読売新聞東京本社 運営協力:中央公論新社)と連携・協力の下、人文機構が平成28年度から推進している基幹研究プロジェクトの成果発表の一環として、広く一般を対象に、無料特別講座を実施します。
講座の概要・申込方法等は以下をご参照の上、ぜひお申し込みください。

申込方法等:受け付けは終了しました
この動画は、2020年2月13日に開催された無料特別講座の収録動画です。
大手町アカデミア × 人間文化研究機構 無料特別講座
食べるフィールド言語学――「Food×風土」の視点から
講師:吉岡 乾(国立民族学博物館 人類基礎理論研究部・准教授)
ナビゲーター:野林 厚志(国立民族学博物館 学術資源研究開発センター・センター長・教授)
2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催年となりました。今年は、世界各国から多くの訪日外国人や旅行者が訪れます。「食」は生活に身近なだけに、異文化間ギャップが最もあらわれやすいといえるでしょう。
今年一回目となる大手町アカデミアでは、食文化研究に実績のある国立民族学博物館による講座を開催いたします。
本講座では、話題の書『現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。』を著した吉岡乾氏を講師に迎え、パキスタン北部のフィールドワークをいきいきと報告しながら、文化や言語の多様性を「食」の面から考えます。
ナビゲーターの野林厚志氏は、『肉食行為の研究』の編著があるなど、食文化に精通した研究者です。
言語学的な食文化へのアプローチとは……? 研究者の「生みの苦しみ」を感じられる講座です。ぜひ、ご期待ください。
言語あるところにヒトはあり、ヒトのあるところには食もある。フィールド研究者は現地に入ると普通、当然ながら現地の言語を話し、当然ながら現地の料理を食べます。やれ学際研究だ、やれ異分野融合だと言われる昨今、例えば、言語学と食文化とを関連付けた研究なんていうのはできないものだろうか。できるのだとしたら、どういう研究が考えられるのだろう。もうすでに何かあるだろうか。
フィールド言語学者である講師(吉岡)が、調査地としているパキスタン北部の山岳地帯で、舌に合わない地元飯を食べながら考えた、言語学的な食文化へのアプローチ。言語学が科学である以上、言いっ放しの感想文にならないよう、研究に客観性を確保しつつ何が言えるのかを摸索しなければなりません。そうした中で見出したトピックである「味覚」での研究活路開拓を目指し、昨夏、実際に現地へ行って予備調査をして来ました。本講座では、その調査の様子と、そこでの(小さな)発見・気付き・思い付きについて、ご紹介をしようと思います。
地域が異なれば、片や食文化が異なり、一方で言語も異なります。ならば「風土」をキーワードに、言語と食とを改めて結び付けられないだろうか。無理繰りのアクロバットな思索からアイディアは創発しないだろうか。食文化研究に精通している人類学者のナビゲーター(野林)から、巧いことヒントを引き出せないだろうか。研究者が陥りがちな「専門バカ」への道から、異分野の垣根を越えることでの脱却を求めて四苦八苦するといった人間味をも、講座全体を通して観察できそうです。