JP 大手町アカデミア × 人間文化研究機構 無料特別講座「食べるフィールド言語学――「Food×風土」の視点から」
講座の概要:
「食べるフィールド言語学――「Food×風土」の視点から」
講師:吉岡 乾(国立民族学博物館 人類基礎理論研究部・准教授)
ナビゲーター:野林 厚志(国立民族学博物館 学術資源研究開発センター・センター長・教授)
(講師による講演内容の紹介)
言語あるところにヒトはあり、ヒトのあるところには食もある。フィールド研究者は現地に入ると普通、当然ながら現地の言語を話し、当然ながら現地の料理を食べます。やれ学際研究だ、やれ異分野融合だと言われる昨今、例えば、言語学と食文化とを関連付けた研究なんていうのはできないものだろうか。できるのだとしたら、どういう研究が考えられるのだろう。もうすでに何かあるだろうか。
フィールド言語学者である講師(吉岡)が、調査地としているパキスタン北部の山岳地帯で、舌に合わない地元飯を食べながら考えた、言語学的な食文化へのアプローチ。言語学が科学である以上、言いっ放しの感想文にならないよう、研究に客観性を確保しつつ何が言えるのかを摸索しなければなりません。そうした中で見出したトピックである「味覚」での研究活路開拓を目指し、昨夏、実際に現地へ行って予備調査をして来ました。本講座では、その調査の様子と、そこでの(小さな)発見・気付き・思い付きについて、ご紹介をしようと思います。
地域が異なれば、片や食文化が異なり、一方で言語も異なります。ならば「風土」をキーワードに、言語と食とを改めて結び付けられないだろうか。無理繰りのアクロバットな思索からアイディアは創発しないだろうか。食文化研究に精通している人類学者のナビゲーター(野林)から、巧いことヒントを引き出せないだろうか。研究者が陥りがちな「専門バカ」への道から、異分野の垣根を越えることでの脱却を求めて四苦八苦するといった人間味をも、講座全体を通して観察できそうです。