味の素食の文化センター・人間文化研究機構共催シンポジウム 「方言で味わう郷土食の多様性~変化と継承が紡ぐストーリーを訪ねて~」
この動画は、2024年12月13日に開催されたシンポジウムの収録動画です。
人間文化研究機構では、平成30(2018)年から、公益財団法人 味の素食の文化センターと連携したシンポジウムを企画・開催し、食の文化に関する研究成果を発信してきました。本年のシンポジウムでは、食を表すことばの地域差=方言に着目し、一般の方々とともに、日本の食とそれを表すことばの多様性、変化と継承について思いを巡らす機会としたいと考えています。国立国語研究所が開所以来、得意な分野としてきた方言の観点から食文化に接近します。
食を表すことばには、食材や調理物といった対象、調理の方法、そして、味覚などがあります。そして、それぞれに地域差としての方言があります。そこにはどのような多様性があるでしょうか。調理物じたいが特定の地域に限定される場合は、他地域の人には思いもつかないような名前があてられているようなこともあります。同じような調理物や調理法であっても、背景にある歴史がことばの違いに現れることもあります。味覚の表現もその味を代表するものとの関係が無視できないことが知られています。このように食の方言が示す多様性の背景には、ことばの変化、そして、ことばの歴史があります。同時に、多様性は統合・単一化の流れにさらされる傾向があり、ことばは特にその方向を強く持ちます。その場合、維持していくには意図的な継承が求められることになります。
前半の講演では、方言の研究者が、食を表す方言の概要、特定地域に限られた食のことば、そして、食とことばのバリエーションについて、お話しします。後半のトークセッションでは調理と食文化の専門家を交えて、本日のテーマ、食とことばの多様性、食とことばの変化と継承に迫っていきたいと思います。
【登壇者】
大西 拓一郎 国立国語研究所 教授
中井 精一 同志社女子大学 教授
新井 小枝子 群馬県立女子大学 教授
土井 善晴 料理研究家、「おいしいもの研究所」代表
東四柳 祥子 梅花女子大学 教授