Vol.3 国際化・国際交流への対応(2024.6)

機構長戦略室だより

2024年6月

Vol.3 国際化・国際交流への対応

4月から、第4期中期目標・計画の3年目に入りました。これまで機構長戦略室では、「研究者データの整備・活用」について検討してきましたが、今年3月までに、人文機構に所属する研究者や機構の共同研究に関わっている研究者の情報を一元的に把握するための研究者情報マスターデータ、「NIHU 研究者情報データベース」の構築の具体案がまとまり、令和6年度からこれを実行に移すことになりました。

「機構長戦略室だより」vol.2にも書きましたが、人文系の研究者データベースには、論文や図書、研究発表だけでなく、これまで評価の対象とされてこなかった、展示の企画・運営、図録、映像作品、データベースの構築、フィールドワーク、地域との連携、海外との連携など、さまざまな成果を収録する必要があります。NIHU研究者情報データベースは、そのようなデータベースを目指して設計されています。今年度はまず、多様なデータをNIHU研究者情報データベースに取り込むことから始め、その後、自己点検や広報活動、さまざまな分析に活用する計画です。

 

「研究者データの整備・活用」に続き、今年度は以下の2点を機構長戦略室の主な検討課題としました。

 〇 広報体制、メディア対応の強化
 〇 国際化・国際交流への対応

 

「広報体制、メディア対応の強化」は、昨年度からの継続課題で、現在、ホームページの改良やメディア懇談会での若手研究者の発表などの工夫を行っています。

「国際化・国際交流への対応」は、今年度、新たに組み込んだ課題です。新型コロナウイルスの流行がだいぶ収まり、対面での会合も、昨年あたりからだいぶ緩和されてきました。人文機構でも、これまで控えていた対面での国際交流を再開することにしましたが、国際化の状況もコロナ前とは変化していますので、機構として国際交流をどう進めるか、あらためて見直す必要が出てきたわけです。

言うまでもなく、研究面では各機関がそれぞれ国際連携を担っています。例えば、国文研では「日本古典籍研究国際コンソーシアム」を、日文研では「『国際日本研究』コンソーシアム」を設立して、それらを国際連携の中心に位置づけています。歴博、国語研、地球研、民博でも、それぞれ20~30の海外の大学・研究機関・博物館等と交流協定を結び、共同研究を行っています。それに加え、人文機構では、以下にあげた海外の8つの大学・研究機関と協定を結び、機構全体として国際交流を進めています。

・ 英国 芸術・人文リサーチ・カウンシル(AHRC)

・ オランダ王国 国際アジア研究所(IIAS)

・ ドイツ連邦共和国 ブランデンシュタイン城(コンスタンティン・フォン・ブランデンシュタイン= ツェペリン氏)

・ フランス共和国 フランス社会科学高等研究院(EHESS)

・ モンゴル国 モンゴル科学アカデミー(MAS)

・ 中華人民共和国 東北師範大学東アジア研究院

・ ベトナム社会主義共和国 ベトナム国家大学ハノイ校人文社会科学大学

・ ドイツ連邦共和国 ボン大学

 

このうち、ボン大学とベトナム国家大学ハノイ校人文社会科学大学とは、すでに対面での交流が再開されました。いずれも、先方からの訪問という形ですが、令和4年12月にボン大学のMichael Hoch学長以下8名の教員の訪問を、令和5年11月にベトナム国家大学ハノイ校人文社会科学大学東洋学部日本研究学科のVo Minh Vu学科長以下3名の教員と8名の大学院生の訪問を受けました。

今年度は9月に人間文化研究機構の12名がボン大学を訪問し、国際シンポジウム “Disaster and the Humanities: Preservation, Management, and Heritage” を開催する予定になっています。また、ボン大学訪問の前日に、フランスのパリ日本文化会館(MCJP)および社会科学高等研究院(EHESS)日本研究センター(CRJ)、オランダのライデン大学国際アジア研究所(IIAS)を訪問して、今後の交流について意見交換を行う予定です。5月27日の第11回機構長戦略室ミーティングでは、9月のヨーロッパ訪問のスケジュールや、今後の国際展開について話し合いました。

各機関の国際連携と並行して、機構全体の国際連携をどう進めていくか、今後、機構長戦略室で検討を続ける予定です。

 

人間文化研究機構
機構長 木部 暢子

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