共創促進研究
機構内外の多様な組織や人々との共創による共同研究を推進し、「社会共創」「デジタル化」「国際共創」という3つの研究展開を促進します。
コミュニケーション共生科学の創成
本研究では、国立民族学博物館と国立国語研究所が主たる拠点となり、あらゆる特性をもつ人が同等に参加できる「コミュニケーション共生」のための新しい研究分野を確立することを目標とします。「コミュニケーション弱者」「障害者」と呼ばれる人たちが、他の人々と同等に社会活動に参加できるようになるためには、現状のメカニズムを解明し、それぞれのニーズの違いとバランスをとるための基礎研究を進める必要があります。このような研究を進め、それをインフラ整備というハード面と一般社会の認識というソフト面の変化につなげていきます。
特別展「Homō loquēns「しゃべるヒト」~ことばの不思議を科学する~」
主導機関 | 国立民族学博物館 | 視覚コミュニケーション班 非視覚コミュニケーション班 脳とコミュニケーション班 |
国立国語研究所 | 個人の特性とコミュニケーション班 |
学術知デジタルライブラリの構築
本研究では、日本国内の研究者・研究機関が現地調査を通して蓄積してきた写真・動画・音声資料等の資料を保存し有効に利用するため、人文機構の国立民族学博物館・国立国語研究所と国立情報学研究所が共同して、デジタル技術を活用しながら資料のアクセス性を高めていきます。さまざまな分野における過去の現地調査成果を現代において見直す作業を通して、学術の進展を加速させます。
国立民族学博物館におけるフィルム写真デジタル化の作業
主導機関 | 国立民族学博物館 | サブプロジェクト X-DiPLAS |
国立国語研究所 | サブプロジェクト NINDA |
日本関連在外資料調査研究
欧米にある日本関連資料の中には、現地の日本文化研究者の不足や個人所蔵であることから、所在情報や資料価値の掌握がされていない貴重な資料が多数存在します。本事業はこうした文書、音声、実物資料を含む多様な資料の調査研究を進めると同時に、その成果を国内外で活用し、海外における日本研究者育成や日本文化理解を促進します。
外交と日本コレクション
―19世紀在外日本資料の世界史的文脈による研究と現地およびオンライン空間における活用(国立歴史民俗博物館)
19世紀に形成された欧米所在の日本コレクション(もの資料及び関連史料)を対象とし、それらを日本の歴史・文化資料としてのみならず、現地に移動し新たな文脈をもつに至った資料と捉えることにより、相互の関係性の歴史に注目するものです。在外日本資料の多視点的調査研究を推進し、グローバルな文脈による新たな位置づけを与えるとともに、現地活用やリモート環境・オンライン空間における活用を促進する事業を展開します。
文久遣欧使節団関係品を所蔵することが判明した仏・フォンティーヌブロー宮殿
日本・バチカン関係アーカイブズの情報基盤構築に関する研究(国文学研究資料館)
バチカン(ローマ教皇庁)と日本は戦国期の交流が有名ですが、近代以降の関係も実は重要です。各地で行われた宣教師による教育社会活動の他、第二次世界大戦では連合国との仲介役も果たしていました。本事業は、これまで日本ではあまり知られてこなかった近代以降のバチカンと日本の外交関係に関わるアーカイブズ(歴史記録)を対象にした本格的な調査です。今期は使徒文書館での調査を行い、情報基盤形成による今後のバチカン・日本関係史研究の発展を目指します。
バチカン使徒文書館の外観
ハワイにおける日系社会資料に関する資料調査と社会調査の融合的研究(国立国語研究所)
海外に点在する日本関連資料の中でも、19世紀以降のハワイで生み出された資料はその数も種類も多いのですが、現地のスタッフに日本語を理解できる者が減少しているために、資料廃棄の危険が高くなっています。本プロジェクトでは、現地の言語史、社会史、生活史を基点とした研究を推進するとともに、資料の所蔵調査と関係者への聞き取り、および現地社会の人達との協働により、資料管理の現状と将来の見通しを得ることを目指します。
移民資料コレクションの一部(於:布哇日系人会館、ハワイ島ヒロ市)