No.033 - 人間文化研究機構日本研究国際賞に期待する
人間文化研究機構日本研究国際賞に期待する
日本経済の停滞状況に応じて、海外における日本研究の存在感が、かつてに比べて、また上手に自国研究を発信している国々に比して、次第に下降気味であるという話を聞くことがあります。国際的に日本研究や日本文化に広く関心をもっていただき、その研究者が増加して活躍していただくことが、日本研究の内外におよぶ学術的な発展のためにも、必要なのではないでしょうか。そうした中で、海外で日本研究を高いレベルで学術的に進め広めておられる研究者を顕彰することは、日本研究の国際化や国際的な日本文化理解の促進のために、大きな意義をもちます。
そこで、この度2019年1月、人間文化研究機構(「機構」)では、日本研究の国際的発展と日本文化の理解を深め広めることをめざして、一般財団法人クラレ財団の協力を得て、「人間文化研究機構日本研究国際賞」(NIHU International Prize in Japanese Studies)を新たに創設しました。この賞は、海外を拠点として、日本に関する文学、言語、歴史、民俗、民族、環境などの人間文化研究において学術上とくに優れた成果を上げ、日本研究の国際的発展に多大な貢献をした研究者を、受賞の対象としています。
受賞者に対しては、招へいして東京で授賞式を行い、賞状、記念品及び賞金2万ドルを差し上げるとともに、記念講演会を開いて研究成果を多くの人々にお話していただきます。
受賞者の選考にあたっては、機構内外の委員からなる選考委員会を置いて、推薦にあたっては、人文研究に関連する国内の大学・大学共同利用機関や学協会から推薦を頂くだけでなく、機構などと協定を結んでいる海外の諸機関からも推薦を受けることにしています。
この人間文化研究機構日本研究国際賞が、実績をもつ優れた日本研究者の業績に報いて、その国際的評価を高めることとなれば、日本研究への注目を高め、ひいては日本文化の価値を正確に知っていただくことにつながるでしょう。また、これから日本研究を志したいという若い研究者たちにも、大きな励みとなることでしょう。
今年の秋には、厳密な選考を経て、晴れの第一回人間文化研究機構日本研究国際賞の受賞者が決まることになります。この賞を通して、日本研究の可能性が国際的にさらに広がり、日本研究が深化・発展していくことを期待しています。
文責:人間文化研究機構理事 佐藤 信