No.095 - 第40回人文機構シンポジウム「人類妄想進化論 ―文学はいかに地球社会を共創するのか?」
第40回人文機構シンポジウム
「人類妄想進化論 ―文学はいかに地球社会を共創するのか?」
令和5(2023)年3月25日、人間文化研究機構は「人類妄想進化論 ―文学はいかに地球社会を共創するのか?」と題した第40回人文機構シンポジウムを京都府立京都学・歴彩館で開催しました。今回のシンポジウムは、機構が令和4(2022)年度から新たに展開している「グローバル地域研究プログラム」が持つ新しい地域研究の構想や問題意識の提示を目的としています。
古今東西、人は妄想をします。妄想は人の頭の中だけに留まらず、時に物語として世に生み出され、作品を通じて書き手の妄想の世界観を国内外の読者に共有してきました。
シンポジウムの前半は、国立民族学博物館の教員2名による講演です。
まず『千一夜物語』の和訳を手掛けた西尾氏から、アラビアンナイトの舞台でもある砂漠に暮らす人々にとっての、砂漠という環境下での自然や人との関係性やそこから生まれる物語・妄想とその理解について取り上げられました。
西尾 哲夫氏(国立民族学博物館教授:当時)
続く山中氏からは、モンスターや妖怪といった欧州や中東などの一神教世界の「驚異」と東アジア漢字文化圏の「怪異」に関する共同研究の成果や「驚異と怪異――想像界の生きものたち」の民博特別展や福岡での巡回展の様子が紹介されました。
山中 由里子氏(国立民族学博物館教授)
後半の座談会「妄想が人類を進化させた?」では西尾氏が進行役を務め、山中氏と作家の森見 登美彦氏が参加しました。本シンポジウムのポスターで使用されたビジュアルの作成秘話に始まり、人工知能(AI)と文学作品や作家の創作活動との関係性や、森見氏による創作過程など話題は多岐にわたりました。
森見 登美彦氏(作家)
座談会の様子
左から、山中氏、森見氏、西尾氏
本シンポジウムは、人間文化研究機構のYouTubeチャンネルにてご覧いただけます。
第40回人文機構シンポジウム「人類妄想進化論 ―文学はいかに地球社会を共創するのか?」フライヤー
(文責:大場 豪 人間文化研究機構 人間文化研究創発センター研究員)