基幹研究プロジェクト
機構の根幹をなす人間文化に関する基盤的・学際的研究として、3類型11の研究プロジェクトを実施し、学術ネットワークの拡大や新分野創出等によって、大学共同利用機関としての使命の実現を図っています。
機関拠点型 基幹研究プロジェクト
人文機構の6機関が、それぞれのミッションを体現する重点的なテーマを掲げ、国内外の研究機関や研究者と連携し、専門分野の深化を図る挑戦的な研究に取り組みます。
国立歴史民俗博物館 日本歴史文化知の構築と歴史文化オープンサイエンス研究 |
国際日本文化研究センター 「国際日本研究」コンソーシアムのグローバルな新展開―「国際日本研究」の先導と開拓― |
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国文学研究資料館 データ駆動による課題解決型人文学の創成 |
総合地球環境学研究所 自然・文化複合による現代文明の再構築と地球環境問題の解決へ向けた実践 |
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国立国語研究所 開かれた言語資源による日本語の実証的・応用的研究 |
国立民族学博物館 フォーラム型人類文化アーカイブズの構築にもとづく持続発展型人文学研究の推進 |
広領域連携型 基幹研究プロジェクト
機構内の機関が中核となり、機構内の他機関や機構外の大学等研究機関とも連携しつつ、異分野の連携を必要とする研究テーマを掲げて実施するプロジェクトです。人文学、情報科学、保存科学、環境学等といった多様な分野の国内外の研究機関や研究者並びに地域社会等と連携し、専門分野の枠を超えた学際的な研究に取り組みます。
◆横断的・融合的地域文化研究の領域展開:新たな社会の創発を目指して
現代の地域社会の多くは、多発する災害や共同体内外の変貌により、危機的な状況にあります。既存の伝統文化を継承しつつも、新たな担い手とそこで更新される文化を通じた社会の創発が必要とされています。本研究では、地域の知恵や歴史が凝縮された伝統文化を取り入れ、持続可能で多様性にみちた社会のあり方を、保存科学、人類学、民俗学、歴史学、生態学、言語学等の横断的な領域から検証し、社会/文化の創発に積極的に参与することを目指します。
「横断的・融合的地域文化研究の領域展開:新たな社会の創発を目指して」基本計画
主導機関 | 国立歴史民俗博物館 | フィールドサイエンスの再統合と地域文化の創発 |
主導機関 | 国立民族学博物館 | 地域文化の効果的な活用モデルの構築 |
国文学研究資料館 | 人口減少地域におけるアーカイブズと歴史文化の再構築 | |
国立国語研究所 | 地域における市民科学文化の再発見と現在 | |
総合地球環境学研究所 | 自然の恵みを活かし災いを避ける地域文化研究 |
◆人新世に至る、モノを通した自然と人間の相互作用に関する研究
自然の中を生きる人類は、環境中の多岐にわたる資源を利用して生活してきました。本研究は、身体や物質に含まれる元素の濃度及び同位体比を分析することで、自然と人間の関わりについて時間軸と空間軸を横断する研究を行い、物質文化から見た現代の地球環境問題につながる人間の資源利用形態の変容を明らかにすることを目標としています。国立民族学博物館との共同研究「古代アンデス研究」を行うほか、機構内外の大学等研究機関との共同研究を行います。
「人新世に至る、モノを通した自然と人間の相互作用に関する研究」基本計画
主導機関 | 総合地球環境学研究所 | 人新世に至る、モノを通した自然と人間の相互作用に関する研究 |
国立歴史民俗博物館 | 同位体による年代・古気候・交流史研究 |
主として江戸時代以前の書物群を対象とし、《語彙レベルや文字組成といった単位に基づく情報の断片化》→《付加価値を有するデータとしての再構築》という共通のフローを各ユニットに設定し、研究成果を現代社会や大学院授業等へ還元すると同時に、適宜AI の技術と融合しながら、研究方法や領域そのものの拡張というメタレベルでの刷新をも狙いとしています。失敗例もプロセスをオープン化することにより、将来のブレイクスルーを呼び込む、いわば人文学の知の実験場です。
主導機関 | 国文学研究資料館 | 古活字版の組成・版面パターンの情報工学的解析 |
国立歴史民俗博物館 | 延喜式のデジタル技術による汎用化 | |
国立国語研究所 | 古辞書類に基づく語彙資源の拡張と語彙・表記の史的変遷 |
ネットワーク型 基幹研究プロジェクト
機構内の機関が中核となって国内外の大学等研究機関とネットワークを形成し、我が国及び世界にとって重要な課題を掲げて実施するプロジェクトです。下記の2つの課題を設定し、研究フィールドから課題解決を実現する研究に取り組みます。
これまで主にポストコロニアルな世界認識の下で想像(創造)された地域それぞれの固有性を内在的・本質的に明らかにすることに注力していた地域研究を刷新し、グローバル秩序の構築(とその失敗)と変容のメカニズムを、諸地域の比較と関連性という視点から明らかにすること、さらには従来の固定的な地域像を越える地域研究を模索することを目的とし、次の4つのプロジェクトを設置して、ネットワーク型の地域研究を推進します。
中心拠点 国立民族学博物館 |
移動の近代と地域概念の再構築 |
東洋大学 | 「イメージ/表象」の歴史的変遷 |
東京外国語大学 | 文学・芸能の文明圏間環流 |
同志社大学 | 「多文化主義」と現代の共生 |
中心拠点 国立民族学博物館 |
移動の連関性と連続性 |
東京大学 | 開発と環境、医療の持続性 |
大阪大学 | 文学・思想の混交性と創造性 |
京都大学 | 平和的共生の可能性 |
中心拠点 国立民族学博物館 |
資源・インフラ開発、生業、 文化遺産、文化復興 |
東洋大学 | 海辺居住の論理、自然災害、レジリエンス、共通性と地域性 |
京都大学 | 食と健康、身体的・生理的・文化的適応、気候と社会の変動 |
東京都立大学 | 人とモノの流動性、経済資本と移動、マテリアリティと景観の変遷 |
中心拠点 東北大学 |
マイノリティの権利とメディア |
国立民族学博物館 | 宗教とサブカルチャー |
神戸大学 | 少子高齢化と葛藤 |
北海道大学 | 越境とジェンダー |
機構(主導機関:歴博)、東北大学、神戸大学が中核となり、日本各地の大学や地域に設立されている「資料ネット」と連携して、歴史文化資料の調査および保存研究活動を軸とした全国ネットワークを構築します。また、地域における歴史文化の基盤を研究者だけでなく地域全体で認識することで、地域歴史文化の構築研究に資するとともに、自治体や社会との協働・共創による資料保全のあり方や地域文化の基盤を研究者と地域が共有する事業へとつなげていくことを目指します。
「歴史文化資料保全の大学・共同利用機関ネットワーク事業」基本計画
主導機関:国立歴史民俗博物館 |
神戸大学 |
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